肉球を太陽に

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アイシテル~海容~が発売。2007年度最高の問題作です。

衝撃の問題作。

前に、小学生(11歳)が小学生(7歳)を殺して双方の母親がのた打ち回って苦しむ話、という漫画の紹介したんですが、ついに単行本発売です。

主婦向け月刊誌で連載されてたので、漫画好きでも若い女性や男性はノーチェックだったと思います。 でも、こういう作品が、地味に忘れられるのは癪なので、めいいっぱい推薦しますよ。

アイシテル~海容 前編 (1)アイシテル~海容 後編 (2)

 

最終話読み忘れてたので、早く読まなきゃね。っていうか買わなきゃいけない、と思ってます。 詳しくは前に(2月1日の記事)あらすじ書いたのでそこ読んでもらうとして

二つの家庭も、どこにでもある家庭なんですよね。

殺されたほうの家庭は、父、母、中学生の長女に、今回被害にあった長男。父親は野球が好きで禿げてて人の良い風貌で、母親は明るくて優しくてちょっと口やかましくて、思春期に入った長女は非行に走るわけでもなく、しっかりした子に育ち(事件後、一番気丈だったのが長女)、弟は無邪気そのもので、この一家の中心で。どこにも落ち度はないです。現代版サザエさんみたいな本当に普通(理想)の家族。

殺したほうの家庭は、ちょっとだけセレブの匂いがあるわけですが、上の夫婦より若くて美男美女。父親はエリートで仕事で忙しく、息子の面倒は妻にまかせきり。母親はオーガニック食材できっちり三食手作りの食事を作るなど、主婦としても有能。息子は塾に通ってて、勉強もできて、両親に似て顔立ちもいい。お洒落なマンションに住んでてお金も苦労はしてなさそう。母親は服装も高そうなの着てて、若くて綺麗で香水とかつけてそうな感じで、ある意味こっちも理想の家族像を持ってると思います。

でもその息子が殺されたり、殺したりしちゃったわけです。いやーおっそろしいです。

なぜ子供が子供を殺したのか?
それは二人とも、子供だったから。
事件の真相も悲しくて切ないがゆえに恐ろしいです。

この二つの家庭はずーっとこの事件を背負い続けて生きるわけです。
殺された子は帰ってこない。
そして罪も消えないですからね。

そこから、母親としての役割はなんだろう、って話に行くんだけど、加害者の母親と同じ気持ちになれるのが、世界でただ一人、被害者の母親だけなんです。

↑この文読んでて、まさかそんなことあるわけないじゃんって思うでしょ。ここの描写がとにっかく巧いのよ。この作者。

被害者の母親は、泣き暮らして長女をほったらかしにして、現在進行している母親としての役割をこなせない。

加害者の母親は、親として息子に命の尊さを教えたくとも、息子は保護されて一緒に暮らせない。

ついでに、加害者の心を開いて事件の真相解明した有能女性監察官も、仕事で忙しくて、息子の面倒をちゃんと見ているとはいえないんですよ。

「母親」っていったい何なんでしょうね。

しみじみと恐ろしい作品でした。


おそらく、この作品の加害者と被害者、双方の母親のモデルは、神戸須磨児童連続殺傷事件で犠牲になった山下彩花ちゃんの母親なのではないかと思う。
彩花ちゃんのお母さんが少年Aに向けて書いた手紙も衝撃的でしたが、それがこの本のモチーフになった気がしてならない。

最後にA君へ。もし、私があなたの母であるなら、真っ先に思い切り抱きしめて、共に泣きたい。言葉はなくとも一緒に苦しみたい。

氷のように冷たく固まってしまったあなたの心。そのうえ、それを深い海の底に沈めてしまった。 でも、深く暗い海底からそれを捜し出し、ていねいにゆっくりと氷を溶かし、ゆったりとほぐすことができるのは親の愛しかない。とりわけ、母の愛が太陽の温かさで包み込む以外に、道はないと思うのです。

罪を罪と自覚し、心の底からわき出る悔恨と謝罪の思いがいっぱいにつまった、微塵のよどみもない澄みきった涙を、亡くなった二人の霊前で、苦しんだ被害者の方々の前で流すことこそ、本当の更正と信じます。

それまで、共に苦しみ、共に闘おう。あなたは私の大切な息子なのだから。

彩花へ―「生きる力」をありがとう (河出文庫)

海という言葉も使われてる。当時は「共に闘おう。あなたは私の大切な息子なのだから 」という一文に違和感しか抱けなかったけど、この本を読んだあとでは、わかる気がする。

奪われた命の重さを知ってほしい。犯した罪から目をそらさずに自分と向き合って闘ってほしい。そのためなら自分が母親になって抱きしめて共に苦しんで共に泣いてあげたい。それほどまでに少年Aに絶対に奪った命の重さを分かってほしい。

だから「共に闘おう」
だから「あなたはわたしの大切な息子」なのだな。

そして少年がきちんと心から反省して更正し、人の命を奪った罪を背負って生きることで、初めて被害者の奪われた生と、少年の生が重なるわけです。

果たして少年Aは、更正できているのでしょうかね。


ちなみにgoo辞書で海容を調べてみた

かいよう 0 【海容】
(海が広く物を容(い)れるように)寛大な心で、人の過失を許すこと。寛容。

  1. 2007/03/13(火) 01:17:43|
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